源さんに背中を押された日の出来事


濃密幸福な時間 WOWOW ドラマW プラージュレポート

実を言うと、3/21の夜にエキストラ当選のメールを頂いてから妄想を繰り返し眠れなくなりご飯も食べられなくなった。
もしかしたら源さんと会えるかもしれない、そう考えるだけで脳内にアドレナリンが大量放出された。
5人のみの少人数ということ、実年齢での応募での当選も嬉しかった。
前夜、仕事が終わってからフェイスパックを買い久しぶりの即席の自分磨き。
衣装も3パターン用意して欲しいという要望があったためキャリーに入れて準備が完了した。

2017年3月24日(金)13:00 美容室へ半年ぶりにカットに行き仕上げもきちんとセットをしてもらった。
集合時間の16:30まではまだ時間はあるが早めに到着しておいたほうが安心だと思いで15:17集合場所である入谷駅に到着した。
銀行に行きお金を下ろした後ドトールに入った15:35。
SNSをチェックしているスマホに見慣れない携帯からの着信があった。
混雑はしていたけれど喋っている人が誰もいない店内だったが出なきゃいけない電話のような気がして即座に通話ボタンを押した。
電話の相手はメールのやり取りをしていたスタッフの中山さん(仮名)からだった。

「きのこさんすみません、実は1時間半くらい撮影が巻いていまして集合時間を早めていただきたいんですけど大丈夫ですか?」
「今もう入谷のドトールにいます、すぐに行けますよ。」
「ありがとうございます!助かります!すぐに来ていただけますか?」
「わかりました。」
え?まじか?この1時間で気持ちを落ち着かせようとかいろいろ準備をしようと思っていたのに、買ってきたアイスティだって全く飲んでないし化粧も直してないしトイレにも行ってないし。
落ち着こうとするもいきなり呼ばれた衝撃が私を襲う。
え?え?まじで?もう行くの?心の準備は??
買ったばかりで口をつけていないガラスのコップに入ったアイスティを持ち帰りの容器に入れ替えてもらい店を出た。

集合場所まで小走りで行くと台本を持った若い男がこっちを見て待っていた。
私を見て中山さん(仮名)はすぐに気づいてくれてすぐに現場へと案内された。
現場は駅に近く1本路地を入ったところにある古い民家を改装したカフェがロケ場所のようだった。
窓ガラスには暗幕が張られておりナイトシーンだと言うことがわかった。
しばらくその場で待つように言われ待っていると中山さん(仮名)より偉い感じの助監督が私のところにやってきた。
集合時間の1時間前にいた猛者は私と20代くらいの男の子で、その上席助監督を仮に山田さんと呼ぶことにしよう。山田さん(仮名)は私たちを見てこう言った。
「ん~どういう関係だろう・・・」
まぁ確かに。若い男とアラフィフのおばさん。どうも接点が見つからない。ひとまずここは無難に親子という事に落ち着いた。
しばらく現場の準備ができるまで外で待っていると私と息子が呼ばれ店内に入った。
お店の中はとてもおしゃれでセンスのいい家具や小物で溢れていた。
決して広いとは言えないがちょうどいい広さの店内でたくさんのスタッフがそれぞれの仕事をしている。

ざっと見渡しても俳優らしき人は誰もおらずそれどころかカメラすら据え置いていなかった。
山田さん(仮名)と同じような別の助監督がこう言った。
(後で調べてみるとこの助監督らしき人は吉田康弘さんという監督でした。若くてイケメンだったから監督には見えなかったー。失敬。)
「じゃあエキストラの方の動きのテストしようか。」
フロアから3段ほどの階段のところにレジがある設定でカウンター内にいる店員からお釣りの1200円受け取り帰っていくという流れだった。

久しぶりのドラマの現場は本当に楽しい。一つの作品を作るために色んな所から色んな人が集まりながらも生き生き仕事をしている。
私にお釣りを渡すこの店員がもし源さんならと軽く想像をするも、スタッフの会話を聞いていると出てきた固有名詞は女子のものだった。ハイ源さん消えたぁー。
いたし方あるまい、源さんが出ているドラマに出られるだけでも本望ですよ。本当に。
とは言え源さんじゃないのかーと言う素直ながっかり感は拭えない、でも私は女優!プロよ!与えられた役はどんな役でも全力投球よ!!(もはや女優気取り)

お釣りを渡してくれたのは小道具のスタッフで、そのスタッフと息子役の若い男子とリハを何度か繰り返し店内の椅子で座って待つように言われた。
その間にカメラ位置などを決めどんどん準備が進むとまた立ち位置に入ってくれと呼ばれた。その場で少し待っているとカウンターの中に石田ゆり子さんがいるのが見えた。
うわっ!!ゆりちゃん!!!
カウンター内の店員は石田ゆり子さんだったのだ。細くて透明感があってめちゃくちゃ綺麗だ。さすが女優だぁぁ美しい!!
もし源さんがいなかったとしてもゆりちゃん見られただけ幸せだ。
この時点で源さん以外のキャストは発表になっていないし、朝逃げ恥を見てきたこともあって本当に驚いた。
ゆりちゃんと私は二人で軽く動きを確認した。何?この状況??
「私今石田ゆり子と芝居してるよ」すっごいなぁ~と感心していると私が立っている奥の方から白っぽいシャツと水色のエプロンをした小柄な男が真顔で歩いてきた。

ぬぉぉぉぉぉーーーーーーーげ、げ、源さーーーん!!!!
いたぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーー!!!
源さんも居たんですねぇぇぇ!!!かわいい!かわいい!!ホンモノの源さんだぁぁ。
動いてる!息してるし生きてるーーー!嬉しい嬉しい本当に嬉しい!!!!!!!!!
それに何?そのかわいい格好!チェックのエプロン姿が妙に似合っていてかわいい!!
「リアル源さんがかわいすぎる件について~~~!!!」

と言うことは・・・。私がこの現場に到着してから源さんと半径10メートル以内に居たってことか。
突然現れた源さんを見た瞬間震えが止まらず顔がニヤけた。
でも私はまだスタッフやゆりちゃんがたくさんいるカウンターの近くに立っている。
出来うる限り下を向き歯を食いしばり口を真一文字に結んだ。
そうしていないと自然と広角が上がり目尻が下がり顔がニヤけてしまうからだ。
「源さんだ源さんだ源さんだ源さんだ・・・」呪文のように頭の中で繰り返した。

源さんが私の前を歩いている。うわぁぁ何?この距離感!!手を伸ばせば届く距離を歩く源さんを見てますます顔がニヤけた。
また山田さん(仮名)テーブルで待つように言われ待っていた。
ここでもやはり同じように俯き歯を食いしばり、口を真一文字に結ぶ。
手は震え口が乾きながらも脳内には源さんの曲、「時よ」が流れループしだした。
自分のテンションを表すような速いテンポの曲だ。

♪動き出せ 針を回せ 次の君に繋がれ♪
店内にたくさんのスタッフがいる。それよりなにより源さんがいる。
ファン丸出しのエキストラが源さんを見て舞い上がってしまってはダメだ!絶対ダメだ!!!
でもこの興奮は抑えられない。抑えられる訳がない。だって本当に夢にまで見た源さんなのだもの。その源さんと狭い店内にいられるなんて。あまりの非日常状況に混乱をした。あぁぁ嬉し過ぎておかしくなる。

山田さん(仮名)が私たち親子を呼び有名俳優陣を含んだドライが始まった。
石田ゆり子様と星野源様ときのこだきのこ、あと若い彼でやるのよ!すごくない?これ。
この4人で芝居をするのよ!!カメラは回っていないけどめっちゃくちゃ緊張するではないか!!源さんがすぐそこにいるのよ!!

ゆりちゃんが私に「はい1200円のお返しです」と言いながらお釣りを手渡し私が「ごちそうさま」と言って受け取る。そして源さんの横(その距離推定50cm)を通り過ぎると源さんは「ありがとうございましたー」と私たちに声をかけそのまま親子は店外へ出る。

私は源さんの横を通る時「どうも~」と発すると源さん扮する貴生は私を見て「ありがとうございます」と答えニコッと笑った。
ちょっとぉぉ!!目が目が目が目が目があった・・・・近い!近い!源さんとの距離が近い!!!
息子がお店の引き戸を開け店を出でカメラから外れたとたん倒れるんじゃないかと思った・・・。

何これ?現実?夢?
もうお母さんはニヤけが止まらない。胸が苦しい。
ドライを1本やってまたテーブルのところで座って待っていて下さいと指示が出たので座っていると源さんが衣装さんとメイクさんの二人の女子に囲まれて私の前に座った。

緑?紺?(嬉しすぎてどっちか忘れた)のクロックスのサンダルのようなものを履いていた源さんが衣装のスタンスミスに履き替えながらスタッフと談笑している。その顔には笑顔があった。
うわぁぁーーー芝居ではなく素の星野源が笑ってるぅ、こんな近くで源さんの笑顔を見られて幸せ!やっぱりかわいい!
かわいいのは最強なんです!かっこいいの場合かっこ悪いところを見ると幻滅するかもしれない、でもかわいいの場合は何してもかわいい!かわいいの前では絶対服従全面降伏なんです!!

山田さん(仮名)に私たち親子が呼ばれた。立ち位置に戻ると私の立ち位置に黒い布ガムテープでバミリがしてあった。うわ~~!私のバミりだぁ!なんか嬉しい~!!!!

次は本番だと言った後吉田監督は私にこう言った。
「お母さんはお釣りをもらう時ご馳走さまとか言ってもらっていいですか。」
「はい、声は出してもいいんですか?」
「いいですよ言っちゃってください。」

マジか!!!!エキストラとは無言で喋る芝居をするものですよ、今までそうしてきましたよ。それが正しいエキストラですからね。それなのに声を出してもいいとは!!
さらに吉田監督は畳みかける。
「あとね~」
「はい。」
「こっちにも料理をサーブしてくれた店員さんがいるから横を通り過ぎる時ご馳走さまと言って通ってください。」
「マジかーーーぁぁぁぁぁぁあぁあ!!!マジなのかぁぁぁぁーーー!!!」


《こっちの店員さん》こそがまさに源さん!!げげげげげげんさんに話かけ店を出るだと??
本気で言ってるのかこのAD様は(このときはADだと思ってる)

「はい!」
極めて冷静を装い大きい声で返事をしたものの口の中の水分がすべて抜け、唇も口の中もかっさかさになり息も上がっているようだった。水が飲みたいヤバい、本当に死にそうだわ。

ドライの次は本番となった。カメラが回っているという緊張はゼロだったが
やはりそこに本物の星野源がいると思うとそれだけで緊張してしまう。
でも誰にも出せとも言われてはいないが私はエキストラのみのリハ時からちゃんと自分の財布を出し芝居をしていた。

テストと同じようにゆりちゃんからお釣りをもらい財布に入れ源さんの横を通り過ぎる。
そしていよいよ源さんに「ごちそうさまです」と話しかける時が来た。
「ごちそうさまです。」いつもより少しだけ高い声を出した。
源さんは私の目を見ながら「ありがとうございました。」と笑顔で言った。

ぶわぁぁぁぁぁぁぁ崩れ落ちる・・・立っていられない。も、もうやめてクダサイ・・・これ以上やられたら冷静さを失います抱きついちゃいます即死亡の前に現行犯逮捕です。
死ぬ・・・それだけでも死にそうなのに源さんやめてぇぇぇぇそんな笑顔ぉぉぉぉ。
ありえないほどの至近距離で大好きなそんな笑顔を見せるなんてぇぇ。
好きの嵐が・・・。私の中の星野源旋風が店内の様々なものを巻き込みながら吹き荒れた。

チェックをすると監督がもう1本やろうと言い出した、もちろんです!!100本でも200本でもやります!!
一生できますっ!!!やらせていただきます!!!やり遂げます!!!!!
また同じように源さんに「ごちそうさまでした」と言うと同じように私の目を見てにっこり笑顔で「ありがとうございます」と答えた。

悩殺とはまさにこのことだ。よくテレビで見るアレ。笑顔で人は殺せる。この時そう思った。
源さん、あなたは私を殺す気ですか?
心の準備もなく現場に呼ばれ源さんとセリフを交わせと言われここまでやり遂げた私はホントに偉い!
この二度目の本番の時は息子と店を出る道すがら「美味しかったね~今度はお父さんを連れて来ようね」とアドリブをかましそのテイクがOKとなった。

あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁもう私、死んでもいい。人は自分の想像を超える幸福感に陥るとこんなセリフが口をついて出てくる。《死ぬ》と言う言葉を軽々しく口にしたくはないがどうしてもそう思ってしまう。

私が出演したカットがOKとなり私たちは外に出た。
たまたま早く来ていた人が若い男子じゃなければ私がお会計をし源さんにごちそうさまと声をかけることもなかったのだ。

美容院の予約がもっと遅かったら到着も遅くなっただろうしこの日のすべての行動がうまく回った。
今までたくさんの作品にエキストラとして参加させていただいたがここまでいい役をいた
だいたことはなかった。
主役と絡んでセリフを交わすなんてありえない。エキストラは画面の背景となり気配を消すものだと思っていた。
あろうことか主役の源さんと絡みがあるなんてしかもセリフのやり取りまで・・・。
源さんを好きになった時にはもうすでに源さんは人気者で、手の届かない存在だった。(すでに手が届いたかのような言い草)
というかまだ星野源に屈してから1か月とちょっとしか経っていない。

それなのに私はステージ上の源さんではなく、テレビを通した映像でもなく目の前の、正真正銘の目の前にいる星野源とセリフを交わし笑顔を交わしたのだ。
触れこそはしていないまでもありえないほどの近い距離感。
いきなりこの距離感に来るとはさすがの妄想好きの私も妄想すらできなかった結果だった。それだけに喜びもひとしおなのである。

変な話、源さんは本当に生きている存在するヒトだったんだなぁと思った。
福山さんとかと同じようにテレビでしか見たことがない人はその存在が本当に確かなものなのか疑念を抱くことがある。
源さんもそれと同じだった。そんな源さんの視界に入って視線を交わし言葉を交わすことが出来たこと、芝居とは言え、いや、その源さんと芝居が出来たこと自体すごいことである。
夢の中にいるような現実味のない不思議な感覚だった。
本当にあった出来事なのかも疑わしくなる。

私の出番が終わったのが16:30、源さんの姿を最初に見てからたった30分の出来事だった。
今まで体験したことのないあまりに濃密な30分だった。
中山さん(仮名)と話をしている時源さんがお店から外に出てきた後ろ姿を見送った。
この日の撮影終了予定は22:00だった。用意した衣装に着替えることもなくまさかの5時間半巻きで終了となった。

でも私はもう十分満足だった。
電車に乗っても顔がにやける、本当にありえないくらいニヤけるのでストールを深くかぶり顔を隠して電車に乗った。早くこの気持ちを誰かにぶつけたくて新宿で仕事をしている友人を呼び出し初めてハグをしたいと思った。嬉しすぎて誰かに抱きつきたいという感情は後にも先にも出たことはない。

そういえばこんなに嬉しかったのっていつぶりだろう。こんなに笑ったのっていつぶりだろう。
何をするにも楽しめず夢中になれなかったこの数年、生きている意味さえも分からなくなっていた。少しでも興味があるものに手を出してみても今一つピンと来ない。でも源さんのおかげでやっと自分を取り戻すことが出来、生きていく目的も見つけられた。
些細なことでもイライラしていた自分も今はもうどこにもいない。
なぜこんなに源さんにハマったのかは実のところ自分でもわからない。今わかっているのは源さんの笑顔と自分との共通点の多さなのかもしれない。

目を閉じるとあの時の源さんの笑顔がフラッシュバックする。
1週間以上経った今でも源さんの笑顔を見ると思い出す。
この先、源さんの視界に入ることも、源さんと目が合うことも、目の前の笑顔を見るこ
とも、喋ることも二度と無いかもしれない。でも源さんは確かに存在する人間だってことをこの目で確認することがでた。

そしてたった1度でもその源さんの視界に私が入ったこと、目が合ってありがとうという言葉を聞いたこと、源クラスタとしてはこの上ない幸せである。

今後どんなに辛いことがあったとしてもこの日の源さんの笑顔を思い出せば私はきっと頑張ってゆける。

撮影の記念にとプラージュの台本を模したA5サイズのノートを頂いた。これが本日のギャラである。

源クラスタならばお金を払ってでもやりたい素晴らしい役を与えてくださったWOWOWドラマWプラージュのスタッフの皆さま、私を抜擢してくださった助監督の山田さん(仮名)、そしてセリフを与えてくださった吉田監督様、本当に本当にありがとうございました!


~~あとがき2018年1月吉日~~
あれから9ヶ月が過ぎた。
自分が体験しそのことを文章にしたことなのにこれを読むとどこか他人事のような「このファンの人、源さんに会えたんだねぇ本当によかったねぇ、そしてうらやましい!!」とそんな気持ちになる。
あきらかに9ヶ月前の自分に嫉妬しているのだ。
オンエアされた映像を見て私と源さんが同じフレームに収まっていることが不思議で信じられない。

この9ヶ月の間様々な魅力を私にぶつけてきた星野源という人間を更に好きになっている。
きっと今の自分が源さんに会ったらこの時の自分以上になることは間違いなく、口の中がカラッカラになる以上の現象に襲われることは間違いない。
今度は崩れ落ちるかもしれない(美しく崩れ落ちることが出来るようリハーサルに余念がない)ウソ…





ゲンラボ~Gen Lab~

なぜこんなにもハマってしまうのか なぜこんなにも好きになってしまうのか なぜこんなんにも夢中になってしまうのか 星野源さんのとめどない魅力を研究し発表するサイトを作りました。 星野さんの公式チャンネルや全曲の歌詞サイトにも簡単に飛ぶことが出来ます。 ★星野源さんの公式とは一切関係がありません。個人的に開設しています。★

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